2017-08

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

キルギスでの抑留体験記、新潟県より表彰される

023_R.jpg
抑留中に使っていたスプーンとフォークを前にした宮野泰さん(89歳)

夕方、電話があった。新潟県に住む宮野泰さんだった。宮野さんは、1946年から1948年まで中央アジアにあるキルギス共和国のラーゲルに捕虜として過ごしていた。その体験を2013年に自費出版している。タイトルは「タムガ村600日」。新潟日報事業社から出したが、すでに売り切れ。2000円の値段だったが、今ではアマゾンで3800円の値段で古書が手に入るだけ。(11月6日現在)

この著書が、新潟県が著者に贈る賞を受賞したのだという。詳しくは、日曜日(8日)に、知り合いの元県会議員が宮野さんを訪れて、話してくれるのだという。とてもうれしそうな声だった。先月から、高齢のために歩行などに不自由がめだち、施設に入ったといっていた。一人暮らしになっていた。昨年には奥さんに先立たれてもいた。それだけに、うれしかったのだろう。

宮野さんは、満州建国大学に入学している。「卒業している」と書けないのは、2年生の時に徴兵で軍隊に入隊している。そのために卒業していないようだからだ。その満州建国大学のメンバーに、朝日新聞の記者三浦英之さんが取材している。韓国、台湾、モンゴル、中国と取材し、カザフスタンのアルマトイには宮野さんと3人で行った。(実は、NHKの記者も一緒だったのだが、プライべートだった。)

満州建国大学は、五族協和をスローガンとして日本政府が開校した。元学生だった人たちに取材して、三浦さんが1冊にまとめた。この原稿が今年の開高健ノンフィクション大賞を受賞し、来月表彰式があるので出席してほしいと、南アフリカに赴任中の三浦さんから電話があったと。こちらのことも喜んでいた。「年の終わりに、いいお土産ができた」というので、「土産の続きを来年も聞かせてください」と返した。

018_R.jpg
抑留仲間が送ってくれた写真

実は、宮野さんは、キルギス共和国のラーゲルで使っていたスプーンとフォーク、それに抑留中の写真をわたしにくれた。わたしは、シベリア抑留者支援・記録センターに寄贈して、シベリア抑留の実態を若い人に知ってもらうために使ってもらうことにした。先月、日比谷図書館で展示したのだが、その時の写真を送る約束をした。

P1010073_R.jpg
寄贈したスプーンとフォークの展示の様子

ナイフは、ソ連兵からもらったという。両方ともアルミだとばかり思っていたら、フォークはステンレスだった。アルミのスプーンは、ソ連兵が自作したと思われる。飯盒などのアルミ製の品物を、ソ連兵が自分たちで加工したのだろう。だが、ステンレスはソ連兵がどのようにして手に入れたのか不明だ。

P1010100_R_20151106200931818.jpg
アルミ製の煙草入れと鉄製の煙草入れ。アルマトイに抑留された方のお嬢さんから寄贈された

主宰しているシルクロード雑学大学の会員から、「友人のお父さんがアルマトイ抑留されていたようだ」とのメールがあった。しかも、そのメールには、アルマトイの様子がわかるかもしれないと思い、書名と出版社も書いてあった。

本を出すといっても、あの時代は紙がなくて印刷物を発行できなかった時代だ。紙は統制物資だった。シベリア抑留の体験を出版したくても、紙を調達できないために出せなかったという話を取材で聞いていた。何か理由があるはずだ。そう思ってインタネットで調べると「淡徳三郎」さんは、有名な評論家だった。それがどうしてシベリア抑留になったのか。疑問が残った。

お嬢さんから煙草入れを、シベリア抑留者支援・記録センターに寄付してもらった。話を聞くと、これもソ連兵からもらったという。アルミ製と鉄製の2つあった。

宮野さんに、「宮野さんのスプーンがきっかけで、ソ連兵からもらったたばこい入れが寄付されました」とお礼を言うと、「え、アルマト」と驚いた返事があった。実は、宮野さん、朝日新聞の三浦さんと一緒にアルマトイへ立ち寄ったとき、アルマトイにある日本人墓地へ墓参りに行ったことがあったのだ。帰りたくても帰れなかった抑留者のお墓に、日本酒をかけて、花を供えたのだった。日本人抑留者が建てたといわれているビルもたくさん見ていた。満州建国大学のロシア人の同窓生も暮らしている、今でも。それで、どうしてアルマトイなのか、驚いていたのだった。

P1010137_R.jpg
日比谷図書館で開催されたイベントで父親の抑留されたち場所を聞く女性

シベリア抑留された人は、日本に帰国するに際して、メモや記録、様々な持ち物を持って帰ることを禁止されていた。ソ連は、場所が特定されたり、労働の内容、生活のレベルを知られるのを恐れていたようだ。だから、抑留中の様子や暮らしがよくわかっていない。それで、このような寄贈はとても貴重になっている。また、抑留中の暮らしを知るうえでとてもわかりやすい。

家で、あるいは親せきや知り合いに抑留中の品物を持っているという人がいたら、ぜひともシベリア抑留者支援・記録センターに寄贈してほしい、願いします。センターでは、抑留地や墓参の相談にも応じています。




スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://silkroad1993.blog.fc2.com/tb.php/219-aa1b1727
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

«  | ホーム |  »

プロフィール

Author:silkroadcycling
FC2ブログへようこそ!

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

スペイン「巡礼の道」サイクリング (11)
ユーラシア大陸横断サイクリング (47)
講演会のお知らせ (39)
古代道路 (11)
日記 (55)
シルクロード雑学大学 (14)
未分類 (30)
シルクロードと日本 (40)
「ツール・ド・シルクロード10年計画」 (12)
チベット文化圏 (16)
シベリア抑留 (17)
国内サイクリング (36)
海外サイクリング参加者募集 (5)
写真展のお知らせ (15)
シルクロードの旅のお知らせ (6)
シベリア抑留・キルギス (21)
本の紹介・自転車 (7)
本の紹介・自転車・日本国内 (1)
本の紹介・シルクロードの楽器 (3)
コミックの紹介・自転車 (1)
西安ウォーキング (1)
本の紹介・最近のシルクロードと中央アジア (5)
展示会などのお知らせ (15)
海外サイクリング (13)
シルクロードの植物の栽培 (36)
キルギス・サイクリング (20)
自転車事情 (2)
シルクロードを歩く (3)
支倉常長の足跡 (10)
多摩川サイクリングロード (15)
リンク (1)
東日本大震災 (2)
多摩丘陵 (3)
佐渡・新潟・北陸 (1)
河西回廊ウォーキング (5)
佛教の南北伝播 (1)
学食巡りサイクリング (1)

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。