2017-06

イシククル湖一周サイクリング その5 秘境で温泉三昧

赤い山
赤い山肌

8月3日、キジル・スーという川の奥にある温泉で宿泊の予定だ。キジル・スーはキルギス語で「赤い川」という意味だという。天山山脈の南側、新疆ウイグル自治区のアクスの北側に、キジル・千仏洞がある。千仏洞の前を流れている川の名前も、「キジル・スー」だ。赤い山肌を削った濁流は、文字通り赤い流れだ。キルギスでも中国でも同じ。

キジル・スーの温泉までは、カラコルから西へフラットな舗装道路を約50キロメートル。ここからは、進路を南に変えて17キロメートル進んで標高を約500メートル上げる。路面はダートだ。

キジル・スーという温泉が今日のゴールだが、遡上する川の名前はサルーだった。ダートに入って左手に赤い山肌が見えた。南北に連なっている。喘息もちで虚弱体質の私にとって、上り坂は辛い。だが、路面が荒れるほど風景はすばらしくなった。路面抵抗と風景のよさは正比例している風だ。ペダルを踏むよりも、写真をとっている時間が長い。そんなサイクリグができるのは、中央アジアのスイスといわれているキルギスだから可能なのか。


昼食
道路脇の牧草地でランチタイム

12時30分頃、牧草の上でお昼とした。時おり、大人も子どもも満載の乗用車が追い抜いていく。みんな温泉へ向かっているのだという。

馬車の家族
馬車に乗った家族

昼食中、小さな子供を乗せた馬車が通った。お母さんは乳児を抱えていた。御者がお父さんで、家族でお出かけのようでもある。馬車という自然の力に身を任せて、自然な時間の流れで生きている風で、だからこそ生命力の強さを感じさせた家族だった。できたら、1週間くらいホームステイさせて欲しいものだ。自然や時間に対する考え方が多様になるかもしれない。

日干し煉瓦作り
日干し煉瓦作り

午後一番のサイクリングで見かけたのは、日干しレンガ造り。すぐ脇で大きな石で基礎を築いており、家を新築中だった。自然の素材で家を建て、自然の中で暮らし、自然を相手に生きる。キルギス人の底力を見た思いだ。

羊を追う少年
羊を追う子供たち

キルギスでは、5月25日が学校の終業式で、夏休みは5月26日から。羊を追い、家の仕事を手伝う子供の姿を見かけたが、大人と同じように働いている。堂々としていた。大きな声で羊を威嚇し、子供たちは伸び伸びと羊を追っていた。草原に学習塾はない。だが、自然との触れ合いそのものが、生きる知恵を得る学びの場になっているように思った。

道路は冠水
冠水した道路

羊を追う子供たちと別れた後、川幅は狭くなり針葉樹がそびえる。風景は山間部に換わった。それだけならいいのだが、行く手の道路が完全に冠水している。道路脇を自転車を担いで進んだ。

小川を越える
川を越え

道路の冠水はよくあることなのか、山側に石を積んだ通路があった。自転車を担いで、飛び石を渡った。中国でもそうだったが、洪水の原因は気温の上昇によって、氷河がたくさん溶けるからだという。日本では、上流で雨が降ったら下流で洪水が発生するといわれている。洪水の原因も地形などによって異なるようだ。

温泉
キジル・スーの温泉。

途中で20名ほどのロシア人がピクニックを楽しんでおり、そこで歌って踊って、温泉に到着したのは16時頃となった。1階が温泉で、2回はホテル。温泉の脇をゴーゴーと濁流が流れる。2011年に温泉研究の第一人者北大名誉教授阿岸祐幸氏を案内したが、その時は満員で入浴を諦めた温泉だった。地元では人気の温泉なのだ。人気の温泉宿で、今夜は身体を休めるのである。

温泉からの眺め
露天風呂からの眺め

17時、他の客が入っていないので、日本人のオジサン3人で温泉に浸かることにした。濁流の脇に露天風呂があり、眺めがいい。ところが、風呂に浸かっていると変化があった。湯船に入ってくる濁流の水滴が、増えているのだ。濁流の中にある大きな岩を観察していると、水位が上がっている。濁流に流されてはたまったものではない。室内の湯船に移動した。

温泉からあがって部屋で横になっていると、ゴロゴロと音がする。オジサンAは、雷だと主張する。確かに雷がなり始めていた。しかし、頻度が高い。空が光ってから音が聞こえるまでの時間が、光と音の速さとは異なる間隔だった。時間とともに「ゴロゴロ」という音は四六時中聞こえるようになった。

「これは川底の岩がぶつかる音でしょう」といっても、オジサンAは、雷原因説を譲らなかった。

夕食の後、ショローの社長が、橋を見に行くと言う。途中で通った橋が流されたら、明日はサイクリングどころではない。水位が、橋までどれくらいか見に行った。橋が流されるようだったら、今夜中に温泉を脱出しようと考えての行動だ。

携帯電話の電波など届かない。道は行き止まりで、温泉客以外の人や車が通ることはない。ヘリによる救助を期待したくても、連絡の仕様がない。食料はある。こうなったら、しばらくは温泉三昧を期待しよう。
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